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タックスヘイブンのキプロスに法人を設立する

2007年秋以降、アメリカのサブプライム問題を震源とした、世界的な株安が発生しました。

日本市場も暴落しましたが、これほど下がるのには、極めて明確な理由があります。

今日の世界の市場は欧米系機関投資家、特にアメリカ系金融機関の動向で決まります。

彼らは強いドルの力と年金基金を背景に、より効率的でリターンの高い運用先を求めて世界中の市場で運用をしています。

さらに近年はアルゴリズム取引の発達により、その度合いは加速度的に高まっています。

これら欧米系機関投資家の動きは、アメリカの市場動向と連動しています。

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彼らのほとんどは短期での運用で、ニューヨーク市場の市況が悪くなるとキャッシュアウトし、よくなると株を買うということを繰り返しています。

これは特にアジア株式市場において顕著な傾向です。

アメリカ一国の住宅ローンの問題が、世界各国の市場に影響するのは複合的な要因もありますが、基本的にはこういう図式によるものです。

そんな中、日本の株式市場を振り返ると、約6割が外国人投資家。

外国人投資家が、サブプライムローン問題が応急処置では対応できない根深い問題だと明らかになった途端に、保有している日本株を一気に売り払ったのです。

トヨタ自動車や新日鉄住金など、企業のファンダメンタルズは絶好調なのに売られたのです。

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さて、ロシア最大の証券市場であるモスクワ証券取引所の外国人投資家の比率は約30%と、日本の半分以下です。

しかも、表向きは30%ということですが、実質は15%前後なのです。

なぜなら外国人投資家の半分は、トルコ南東の地中海上に位置する島国「キプロス共和国」に籍をおく企業だからです。

キプロスは古来より金融活動の盛んな土地で、ロシアの租税回避地(タックスヘイブン)として知られ、現在に至っています。

つまり、一部のロシア企業は高額の納税を回避するためキプロスに法人を設立し、そこを経由して外国人投資家としてロシア株に投資しているのです。

よく日本のファンドでも、ケイマン籍などのものが見られますが、これと同じ構図です。

つまり外国人投資家は30%とはいっても、そのうち半分はロシア系であるため、本当の意味での外国人投資家は残りの15%のみということです。

これだけの比率では市場に影響を及ぼしようもなく、サブプライムローン問題が付け入る隙がありません。

さらにもうひとつ、関連がないことを裏付ける決定的な要因があります。

サブプライム危機はもともと、アメリカの高金利の住宅ローンが債務担保証券(CDO債券)化されたものを、世界中の金融機関が運用に組み入れたことから始まりました。

その後、住宅ローンは破綻しましたが、あまりにも仕組みが複雑なため誰も追跡できない、つまり不良債権化しているのに、その量と実態が誰にもわからないことが最大の不安要因となり、世界的な信用不安を起こしたのです。

しかしロシアの銀行は債務担保証券なども買っていません。

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そもそもアメリカ系金融機関の資金は、ロシア市場にはあまり入っていませんから、アメリカの景気後退懸念による直接の影響はほとんどありません。

通貨が強いということを単純に述べると、信用力があるため多くの人々に買われる状態を指します。

すると需給の原理によりその国の通貨は他の国の通貨に比べて相対的に価値が上がっていきます。

ルーブルは、いままさに通貨として力をつけている途上にあり、年々切り上がっています。

これまで、世界の基軸通貨はアメリカドルであり、世界中で決済に使われてきました。

しかしながら、米ドルは以前よりも信用力が低下しています。

そもどもドルは2008年以前から、ユーロ経済の拡大とともに、相対的にその地位を失いつつありました。

新興国はドルペッグ制といって、自国の為替レートをドルと連動させるシステムを採用するところが多かったのですが、昨今はシンガポールや中国のように通貨バスケット制という、複数の通貨に連動させるシステムに移行する国が増えています。

しかも、その多くが、ドルに加えてユーロへの連動を追加しています。

ロシアでも2005年に通貨バスケット制が導入され、連動しているのは、米ドルとユーロです。

 

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