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ガスプロムが倒産や経営破綻することは絶対にない

長期にわたって成長が見込まれる国では、個別企業のファンダメンタルズやテクニカル指標をこと細かに研究するようりは、今後有望な業種で時価総額の大きな企業から株投資を始めるのが基本です。

ということで、まずは業種から検討を始めましょう。

ロシアは天然ガス埋蔵量世界1位、原油輸出量はサウジアラビアについで世界2位、他にも石炭、ダイヤモンド、鉄鉱石、さまざまな非鉄金属とレアメタルを有する世界随一の資源大国です。

近年、中国やインドなどでの需要増を背景とした世界的な資源高でますます力をつけており、資源外交として国際政治の有力カードとなっているほどです。

銘柄を挙げると、天然ガスのガスプロム(GAZP)、石油のルクオイル(LKOH)、ロスネフチ(ROSN)、非鉄金属のノリリスク・ニッケル(GMKN)などです。

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かつても今も国策企業であり、世界の時価総額ランキングの上位に位置する銘柄ばかり。

倒産や経営破綻ということは万にひとつもなく、仮に業績が悪化しても政府が支援しないとロシア経済そのものに響きますから、長期保有ならまずこういった銘柄をおさえるのが基本です。

ガスプロムは、元大統領のメドベージェフ氏が就任前まで会長をしていた企業です。

資源セクターが変わりつつあるのは、制度変更のため。

2004年から導入されたロシア安定化基金の存在です。

安定化基金とは、簡単にいえば石油価格の変動に備えて原油価格が高騰しているときは余剰利益分を基金として徴収しておき、下がったときのために備えておくという仕組み。

形を変えた一種の輸出関税です。

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1バレル16ドル以上21ドル未満の場合は30%、21ドル以上の分は90%が徴収されます。

9割というのは驚きですが、利益のほぼ全てをとられても企業としてやっていけるくらい資源株の利益率が高いことになります。

さて、ロシアの安定化基金がエネルギーセクターの将来性とどう関連しているのか。

現在の原油の輸出は安定化基金の徴収比率が高いのですが、逆に、原油を精製したガソリン、ナフサ、灯油、ジェット燃料、液化石油ガス(LPG)、軽油などの関税は、極めて低く抑えられているのです。

高い税金は収益を押し下げる一方、ビジネスの多様化を促進し、より下流の石油精製所の開発といったビジネス展開の刺激となっているのです。

豊富な原油をただ輸出するだけでなく、製品化して世界に売る。

つまり資源セクターの売り上げの比重が、石油精製品や石油化学製品へと移りつつあるのです。

付け加えておくと、現在の安定化基金の残高の合計は約15兆円。

基金はロシア中央銀行に預けられ、外貨に転換され、最上級のトリプルA格のソブリン債で運用しています。

さらに、この資金で外貨を獲得しようとする動きもあります。

次に大きな成長が期待できるのは通信業界です。

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日本ならNTTドコモやソフトバンク、中国ならチャイナ・モバイル、チャイナ・ユニコムなどは市場を代表する優良株ですが、それらとほぼ同じイメージです。

ロシアのような中進国では、資源、製造業、建設業など第二次産業成長の直後、急激なスピードで第三次産業が発展します。

中国が、かつて加工貿易国として経済基盤を盤石にし、現在では内需拡大により消費大国に変貌していますが、これと同じように見ても差し支えないでしょう。

経済成長が著しい元気な国では、当然ながら金融・銀行セクターの成長も必然です。

例えば、ロシア最大の銀行であるスベルバンク(SBER)、VTB銀行、ロシア復興銀行は予想値をはるかに超える増益となっています。

ここ数年のインフレ率は10%前後ですが、国民の可処分所得は前年比で13%も上昇しています。

経済成長とインフレは双子のような関係で、成長国はどこも頭を痛めていますが、現在のロシアはインフレ率より国民所得の増加率の方が高いのです。

そしてこれらの所得が、より高品質、高機能の生活必需品、車、住宅などに向かっているのです。

 

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