FPTはベトナムで1位のIT企業です
FPTは、1988年に設立されたIT企業です。
もともとは、科学技術省傘下の国有企業でしたが、2002年に株式会社されています。
現在従業員は3万人程度で、ベトナム南部のホーチミンから中部のダナン、北部のハノイまで全土で営業を展開しています。
ベトナムで1位のIT企業であり、システムインテグレーションにおいて60%のシェアを持っていたり、ベトナム3大インターネットプロバイダーの1社でもあります。
ちなみにアメリカのブッシュ大統領がホーチミン証券取引所に訪問した際、企業関係者たちと市場について話し合いましたが、FPTの社長はその場に居合わせたうちの一人です。
実際のところ、米国企業は同社に大変注目しており、かのビルゲイツに「FPTはベトナムのみならずアジア・太平洋地域におけるマイクロソフトの戦略的パートナーだ」と言わしめたことでも知られています。
言うまでもないことですが、ビルゲイツは同社の株主でもあります。
また、アメリカの投資会社テキサス・パシフィックグループと世界最大の半導体メーカーであるインテルの投資部門であるインテルキャピタルはFPTに対して約42億円の第三者割当増資を受けました。
FPTテレコムは、ベトナム第二位のインターネットプロバイダーです。
このほか、インターネットコンテンツの制作やIP電話サービス、無線LANの約5000倍の広域をカバーし、高速通信が可能になる次世代無線情報通信のシステム構築にも乗り出しています。
FDCは、主に情報通信機器やソフトのディストリビューションをしています。
とはいえ、ただの卸売りではなく、マイクロソフトやシスコ、ノキアの製品に関しては、半ば独占的に供給していますし、IBMやHP(ヒューレット・パッカード)の機材に関しては、シェアの70%を占めています。
FISは、情報システムについて、立案から導入、保守まで単一の業者が一括してサービスを提供するシステムインテグレーションの会社です。
同社の場合は、主に政府系機関や金融機関のシステム開発に従事しています。
証券取引所のシステムを手がけたのも同社ですし、財務省の公共財務管理システムの構築を受注しています。
また、ビナミルクが約5000万円をかけて統合基幹業務システム(ERP)を導入しましたが、これはFPTを通してドイツのSAPやアメリカのマイクロソフトのソフトを導入しました。
今後の高成長が期待できるFPTですが、なかでも今後、大きく成長する際の成長エンジンと見られているのがFPTテレコムです。
FPTテレコムの利益は、FPT全体の利益の20%を占めています。
ベトナムで最も早くオンラインゲームを開発した企業としても有名です。
そのほか、国内で最も多いページビューを誇る、電子新聞のベトナムエクスプレスも運営しています。
このベトナムエクスプレスは、世界的に有名なウェブサイト閲覧数の調査会社であるアレクサでの順位も世界200位にランクインしています。
いかに人気が高いかが、おわかりいただけるでしょう。
業績もうなぎ登りとなっており、毎年30%から50%の成長を続けています。
その一方で、ベトナムではまだまだブローバンドの普及率は高くありません。
4000万世帯に対し、ブロードバンドが普及している世帯は20万世帯程度です。
日本やアメリカと比較すると、まだまだ低い水準ですから、これから普及する潜在余力は莫大だと言えるでしょう。
言うまでもないことですが、同社にもリスクはあります。
たとえば、電力総公社が電線を使ってインターネット接続サービスを提供する会社を立ち上げました。
日本に例えて言えば、東京電力がTEPCOを立ち上げたのと同じです。
したがって、今後、インターネット接続サービスについては、競合が激しくなる可能性があります。
ただし、総合的にみると安定的に業績を拡大していける企業になっていると言ってもいいでしょう。
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